ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

政治 

『ミシマの警告 〜保守を偽装するB層の害毒〜』適菜収

冒頭、一行目。 結論から言うと、もうダメでしょうね。日本は。 完全に腐ってる。 はー、一行目から適菜節全快です。 問題意識は以下の2点。 ・「保守」が急速に劣化した。 ・メディアが用意した「正論」にしがみつく思考停止した人たち(B層)。 まずきち…

『読まずに死ねない哲学名著50冊』@8月7日付 朝日新聞書評面

若手哲学者・平原卓氏の著書、の書評 by佐々木俊尚氏。 まだ読んでもいない哲学概説書について、ワクドキ感だけで書きます。 86年生まれっつうから自分より年下の哲学者が誰をどうまとめているか気になる。 佐々木氏の書評がいいからなのか。 いま安保法制…

オピニオン:『 節目の米大統領選 (7月30日付 朝日新聞)』と鳥越俊太郎の罪について

フレッド・ハイアット氏(ワシントン・ポスト論説主幹) 彼には大統領になれる経験はなく、気質も向いていません。哀れなぐらい世界について無知です。同盟の重要性を理解せず、民主主義の価値を軽視し、海外の独裁者に魅力を感じています。 実に簡明かつ雑…

論壇時評:「まずい」報道 連帯で脱せ ー小熊英二氏(7月28日付 朝日新聞)』

昨今の報道を、落語「目黒のさんま」に見立てる。 (以下、要約) 「どこからも文句が出ないように」と作られると、“脂と骨を全部抜いたような”報道になる。日本の報道に欠けているもの。それは「連帯」と「独立」である。 ジャーナリスト同士が連帯する仕組…

『瀬戸際のリベラル ー浅羽通明氏(7月14日 朝日新聞)』

浅羽通明、久しぶりに見た。 思い返せば、浅羽通明野の名にこんなにも既視感があるのは、小林よしのり のあのマンガがきっかけだ。このマンガについては近々論評する。 まず、民主党があの時期に党名を変えるなど言語道断です。合同相手の維新の党つまり内輪…

『ポピュリズムという悪夢(エマニュエル・トッド@読売新聞 6月28日付)』

最近、トッドさんよく見るなあ〜 本人も言うように、フランスでフランスのことを語れなくなったということか。 欧州が荒れているということか。 新自由主義は突き詰めれば「国はない。あるのは個人だけ」という考えだ。超個人主義と言える。 フランスは18世…

『論壇時評 ”人との対話が「回路」をひらく” ー小熊英二氏(6月30日朝日新聞)』

ある自民党元都議はこう言う。 「任期中にどういう議員活動をし、実績を残したか」は「次の選挙ではまったく関係ありません」。「では、何が大事なのか。地元の行事や冠婚葬祭に出席するかどうかなのです」。 他の先進国と違い、日本では学歴の低い人の方が…

『アベノミクス考 外からの視点(ジム・ロジャーズ@朝日新聞 6月21日付)』

「安倍首相は、経済を再考させ、海外と競える環境を作り出すと公言していたのに、結局、何もやらなかったと思います。やったことは増税、そして税金で道路や橋を造り続け、お札をじゃぶじゃぶ刷り続けたことくらいでした」 「〜〜。しかし、構造改革は進まな…

『プラグマティズム(文化の扉@2016年5月29日付 朝日新聞)』

異なる信念の共生へ 試行錯誤 ・1870年代の米国 パースやジェームズ ・南北戦争を反省に「異なる思想の共生を目指し、唯一の正しさを否定するところからプラグマティズムは始まった」 ・人間の知性は誤り得るとして、唯一絶対の真理を探究する伝統的な西…

『緩慢な統合 欧州の過ち(ブレンダン・シムズ@読売新聞 6月19日付)』

今のEUはドイツが支配的だ。そのありようは神聖ローマ帝国(962年〜1806年)に似ている。この帝国は国々の緩やかな集合体で、政策決定の基本は合意の形成だった。帝国の最高裁判所が法治に目を光らせた。このはるか昔のドイツ流の政治文化をEUは継承した…

『専横のカリスマ 渡邉恒雄(大下英治)』

・しかばね演説 東京に輪転機を六台入れる件では、務台社長は正力社主と刺し違える覚悟だった 初配属の読売ウィークリーでは、共産党山村工作隊ルポ。 ・大野伴睦に対しては、「一人の人間として、あれほど完璧にいいやつはいなかったと思う」 ・のちにデヴ…

『米歴史家らの懸念』キャロル・グラッグ@2016年6月5日付 朝日新聞

「ただ皮肉なのは、慰安婦問題は過去にほぼ解決していたということです。宮澤喜一元首相は自ら韓国で謝罪したし、河野談話も発表された。その後も日本は何度も謝っている。しかし、安倍首相が河野談話を検証し、見直す趣旨のことを言い始めたため、問題が再…

『メキシコ麻薬戦争泥化の果て』ハビエル・シシリア@2013年10月4日付 朝日新聞

メキシコの誘拐、殺人、脅迫が横行しているのに犯罪者は捕まらず不処罰率95%にも及ぶ。国家権力が腐敗したため、麻薬組織が力をつけたのです。 地域社会が壊れることが、大資本の利益につながることすらあるのです。これは、人々が健康的な暮らしを営んでい…

『トランプ旋風 喜ぶTV局』竹森俊平@2016年3月20日付 読賣新聞

「この技術進歩は同時に、政治論議の質が劇的に低下し、社会規範が崩れるといった予期せぬ結果を様々に招いた」と指摘する。 「膨大な意見や情報源の喧噪に埋もれる世界では、誰もが自分の声を聞いてもらおうと努力するので、敵対者をののしったり、過激な発…

『戦争の記憶と和解』バレリー・ロズ@2016年2月10日付 朝日新聞

「和解は一見、究極の目的のように思えます。でも、状況次第では和解など不可能だし、常に和解など不可能だし、常に和解が必要とも限りません。重要なのはむしろ、和解が現実からいかにかけ離れているか知ることです」 過去が人々にとって重いだけに、紛争当…

『貨幣が滅ぶとき』岩村充(早稲田大学大学院教授)@2016年4月8日付 朝日新聞

〜そうした格差の問題に目をつぶって景気に気を取られているから大衆の不満が爆発し、大統領選でトランプ現象やサンダーズ旋風が起こったのでしょう。」 「実はその米国より、バブル崩壊後の日本の方がはるかに厳しい問題に直面しています。中産階級の所得下…

『House of card season4』

状況を利用して合衆国の外交に口出しするクレア。副大統領を手なづてキャサリンと対立する 共和党候補コンウェイ イスラムテロ組織(模倣犯)に米国市民が捉えられ、身代金要求された時も(犯人が交渉窓口として指名した)コンウェイと会談するため会い、密…

『House of card season3』

「対等な関係を求めたと思えば、男のリードを求める。その時々で心を読めとでも!??」 完全にスパークした夫婦喧嘩。 利害関係の一致したパートナーシップも瓦解する。 こんな日本中で、否、世界中の夫婦の間で繰り広げられているであろうやりとり(台詞)…

『ナショナリズムを考える』ベネディクト・アンダーソン@2012年11月13日付 朝日新聞

〜日本はもはや大国ではないという思いが、人々に大きな声を上げさせるのです」 「ナショナリズムそのものが悪なのではありません。それは、いわば社会の接着剤であり、人々に『自分は日本人だ』と感じさせるものです。〜」 本来ナショナリズムは未来志向な…

『反TPPの核心』佐伯啓思氏@2012年12月1日付 朝日新聞

今日の世界も金融の過度なグローバル化が進み、投機資本が国内経済を攪乱している状態で、自由貿易が双方の利益にならない。 みんながもう少し『内向き』になった方がいい。欧州はそう考え始めたようにも見えます。 〜続ければいずれ行き詰まる。その後に出…

『巨怪伝 〜正力松太郎と影武者たちの一世紀〜(上)』

59年6月25日に行われた、天覧試合の回想からはじまる。 天覧試合は全生涯を賭けた最後の夢。 遡る三十六年前の大正十二年、警視庁警務部長だった勝利機が、テロリストによる摂政宮の狙撃、いわゆる虎ノ門事件の警護責任をとって免官に追い込まれていた。 正…

松峰莉璃@朝日新聞GLOBE

こういう人がいるんだなあ、と関心する。 自分の現在の人生を燃焼させている人。 そういう人を捜してくる編集部の妙。 いま、「情熱大陸」よりも一層”苦労している”感の強い、熱いドキュメント。 抗日戦争ドラマで日本の特高警察官を演じた。 冷酷な策略家と…

『愛と暴力の戦後とその後(赤坂真理)』

一昨年のスペイン旅行のときに持って行ったこの新書。 アンダルシアの、一面をオリーブという田舎を突っ切るバスのなかでかじりついて読んだのを覚えているが飛行機の中に忘れてきてしまったのか持って帰って来れなかった。 最近改めて購入した。 本人も断っ…

『論壇時評 ”2015年安保の言葉” -高橋源一郎(9月25日朝日新聞)』

鶴見俊介はこう書いている。 「私に取って、声なき声は、1960年5月に岸信介首相が日米安保条約を強硬採決したことへの抗議としてはじまった。安保条約そのものへの反対ということだけでは十分な動機ではない。十五年戦争の指導者だった人が、ふたたび戦争体…

『はじめての保守 -9月27日朝日新聞』

保守主義の父こと英国の政治思想家 エドマンド・バーク。 「物事をこれまでとは正反対にするというのも、安直さにかけては、すべてをぶち壊すのといい勝負である。前例のないことを試すのは、じつは気楽なのだ」 「明治”維新”は王政”復古”を伴った。前近代に…

『国家単位で考える「現実主義」に限界 -入江昭 2014年6/19付朝日新聞』

ハーバード大学名誉教授。元アメリカ歴史学会会長。 ー日本では今、中国の拡張主義への懸念が強まり、逆に「国家」が全面に出ていますが 「旧来の地政学的発想ですね。中国の拡張主義は一面に過ぎないでしょう。これだけモノとカネが国境を超えて動いている…

『議論を忘れた日本人 -橋本治 2014年7月8日』

朝日新聞、オピニオン面。 集団的自衛権の行使が日本の安全を守る抑止力になる」と言う人もいますが、 一方では「集団的自衛権を行使しないことが日本の安全を守る抑止力になる」という考え方だって出来ます。 問題は、「安倍内閣が憲法解釈を変えて、集団的…

『いやな感じ -石川健治 2014年6月28日』

朝日新聞、オピニオン面。 高見順「いやな感じ」。 この「いやな感じ」の源泉は複合的であるが、そこに<個の否定>と<他者の不在>が含まれているのは、間違いない。 現代の民主国家においては、内なる<他者>を否定するのが民主的だ、とする議論もある。「民意…

『米国との間合い -五百旗頭真(2015年8/6 朝日新聞)』

「米外交は一つの原理で動いているわけではありません。私の恩師である故高坂正尭・京大教授は、国家を『力の体系』『利益の体系』『価値の体系』であると考えました。米国はこの3つを強烈に持っています。」 「戦後ワシントンであつく歓迎された首相は、こ…

『中国外交は変わったのか  -ベイツ・ギル 2014年8月7日 朝日新聞』

豪州シドニー大学アメリカ研究センター長 両国の立場があまりにも硬化してしまったため、いずれの側からも譲歩あるいは妥協を持ち出すことができなくなっていると思える。 緊張の段階的緩和プロセスが必要だ。 ー日本がいくら謝罪しても、和解は望めないだろ…