ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

2016-01-01から1年間の記事一覧

『タクシー・ドライバー』

76年、マーティン・スコセッシ監督。 トラヴィス。マリーン上がりの不眠症。 いわゆるアメリカンニューシネマに位置づけられ、モノローグで進む。 奴らを根こそぎ洗い流す、雨はいつ降るんだ。 街で見かけたブロンドの女ベツィに岡惚れ。 大統領選候補者応…

『プライベート・ライアン』

98年、スピルバーグ監督。 とにかく圧巻は戦闘シーン。 冒頭15分、のオマハビーチ(ノルマンディー上陸作戦)での戦闘は苛烈だ。 テレビの前で煎餅かじって横になりながらは観てられない。 戦争の最前線は苛烈さを極める。 前の仲間がドカンドカン撃たれ…

『トレインス・ポッティング』

96年、ダニーボイル監督。 学生の頃に観て以来。 嫁に暇をもらって「シン・ゴジラ」観に行った日、映画づいた深夜に観る。 スコットランドの若者、斬新な映像感覚。 若さありあまる今を刹那的に生きる。 どうせ、腐った身体をさらすだけの老後。 ヘロイン…

『東京家族』

2013年、松竹。 東京物語のオマージュ、いや、もはやリメイクか。 山田洋次ってことで。 祖父母は橋爪功と吉行和子。 祖父母が長男の家にやってきたときの孫の反応、 「なんで僕の部屋の荷物出してあるのー」とか忠実。 長男・西村雅彦は開業医で、末っ子は…

「勝率2割の仕事論 ──ヒットは臆病から生まれる (岡康道)」

岡さんの著作を部の先輩に貸してもらった。 彼女の近所に岡さんが住んでいるらしく、子どもの保護者という繋がりで話す機会もあるんだと、で買ってみたんだが、となかば強引にデスクに置いていかれた。 で、せっかくなんでがーっと読む。岡さんの著作は初め…

『奇跡を起こす』立川吉笑氏(8月10日付 朝日新聞)』

ほんとに朝日新聞のオピニオン面は、ときに、テーマと人選が絶妙で、実に頼もしく思う。 立川吉笑氏が出てたのでしっかり読む。 談笑の弟子、川田十夢さんの押しで注目するようになった。 彼の落語には、談志タームである"伝統を現代に"、"イリュージョン"、…

『読まずに死ねない哲学名著50冊』@8月7日付 朝日新聞書評面

若手哲学者・平原卓氏の著書、の書評 by佐々木俊尚氏。 まだ読んでもいない哲学概説書について、ワクドキ感だけで書きます。 86年生まれっつうから自分より年下の哲学者が誰をどうまとめているか気になる。 佐々木氏の書評がいいからなのか。 いま安保法制…

『晩春』

1949年、松竹。監督 小津安二郎。 戦後間もなく。戦争の物故あってか、娘(のりちゃん:原節子)がまだいってない。 「あたしがいなくなるとお父さんが困るわっ」ってそういう話。「孝行娘がまだいってない、いかせたい、本人に聞いてみる」みたいなのっ…

『はっとする1行 出会いたい』井上荒野、角田光代、川上未映子(7月31日付 朝日新聞)』

三人の作家の「読んだ小説の魅力を逃さないために」。 さすが、みな第一線の作家。 言葉が有り体でなく、実感もちゃんとこもったものだ。 角田さんも学生時代の自分と重ねて「20歳くらいの頃は読んでいるものが限られているから、小説とはこんなものだと思っ…

オピニオン:『 節目の米大統領選 (7月30日付 朝日新聞)』と鳥越俊太郎の罪について

フレッド・ハイアット氏(ワシントン・ポスト論説主幹) 彼には大統領になれる経験はなく、気質も向いていません。哀れなぐらい世界について無知です。同盟の重要性を理解せず、民主主義の価値を軽視し、海外の独裁者に魅力を感じています。 実に簡明かつ雑…

『隅田川の花火が先か子が先か。』

8月30日は隅田川の花火大会だった。 うちの子はこの日に産まれた。昨日の話だ。 ここでは、出産にちなんだ妻と妻の周囲をとりまく発言をまとめてみた。 というのも、妻の出産は私にとって「感動的なもの」というよりは、ただただ「妻の面白さとタフさを再…

『ダークナイト』

08年、米英共作。クリストファー・ノーラン。 この作品への評価はそのまま、ジョーカーを演じたヒース・レジャーの演技とその迫真性への評価と言ってもいいかもしれない。この映画が好きだという誰もが言う「ジョーカーがすごかった」と。 ジョーカーの狂気…

耕論: 性表現と法規制 ー林道郎氏、平野啓一郎氏、上野千鶴子氏(7月27日付 朝日新聞)』

ろくでなし子の「アート作品ーわいせつ裁判」について。現代司法の良識と見識を問う紙面。たしかに、こういうものは誰もやってないし(少なくとも表に出ててない ※有名じゃないってことだ)、批評性もあっていいと思う。 個人的にはこういうとき、「新しいも…

論壇時評:「まずい」報道 連帯で脱せ ー小熊英二氏(7月28日付 朝日新聞)』

昨今の報道を、落語「目黒のさんま」に見立てる。 (以下、要約) 「どこからも文句が出ないように」と作られると、“脂と骨を全部抜いたような”報道になる。日本の報道に欠けているもの。それは「連帯」と「独立」である。 ジャーナリスト同士が連帯する仕組…

『BETTER CALL Saul(Seazon1)』

ブレーキングバッドの愛されキャラ ソウルのビギンズストーリー。 改めてこうやって取り出しても少しも伝わらない、面白くない。 でもト書きで、説明したくない。 もう一回見て、言葉の発せられた周辺情報を増やしてくしかない。 1話 当たり屋のスケートボ…

「欲しい ほしい ホシイ── ヒトの本能から広告を読み解くと(小霜和也)」

小霜さんの著作。「欲しい」という感情を、マーケティングの領域から脳科学的見地でもひもといていこうというお話。 渡り鳥がなぜ性格に目的地にたどり着けるかについては、星を見ながら位置を測っているのだ、など諸説ありますが、確信を持って飛んでいるの…

昼間の大リーグ中継をBGMに、命名最終会議とか...

(昨晩の赤ミスジ。十十ロースとは違い、しっかり焼かないと”適当な焼き”味が出てこないらしい。レア目で食べる肉の多い肉に慣れてこの辺は麻痺してる。) 予定日が本日である。 医者からは、隅田川花火大会(8月30日)の日はなるべく産まないでくれるとな〜…

『幸福の黄色いハンカチ』

77年、松竹。山田洋次監督。第1回 日本アカデミー賞受賞作。 高倉健、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり。 北海道、ロードムービー、赤いファミリア。 いいよね。大人のドライブ旅行。 アケミ(桃井かおり 当時26歳)の冴えないこと。あまりの芋女っぷり…

『Breaking Bad(Seazon5 Epi15まで)』

ニューメキシコ州アルバカーキ。 真面目な高校化学教師。 ガンの診断を受け、余命宣告。 これもまたうだつの上がらないアメリカ中年が目覚める話。 キャンピングカーで教え子とメスを作る。しかも99%の純度を誇るクリスタルメスだ。 ノートを見返して想像以…

『キューポラのある街』

日活、62年。 川口、キューポラ(鉄の溶鉱炉) 父親(東野英治郎 ※小津キャスト、六代目?水戸黄門)は鋳物職人 もうとにかく、魅力といったらジュン(吉永小百合)。 スポーツ万能、人気者のジュン(吉永小百合)。 パチンコ屋でバイトするジュン(吉永小…

【ラジオ】村上龍が村上春樹について語りき、爆笑問題・太田がアシストする。

www.youtube.com 村上龍「彼がやっている最大公約数みたいなものを掴んで虚構化するのは難しいことですよ。」 太田光「村上龍作品って、現実主義。いま、現実をどうするか!じゃないですか。でも、村上春樹作品って、もうずーっと上に行っちゃって、北欧の方…

『マチネの終わりに(平野啓一郎)』

恥ずかしながら、平野作品も初めてだった。というのも、いたづらに難解で高尚文学の印象があったから。そういうものは古典に任せようという態度でいたのだ。 作家エージェンシー コルクの佐渡島さんらの仕事(平野担当?)ということで、これはきっと大した…

『ニッポン戦後サブカルチャー史 宮沢章夫+NHK』

年代ごとの、サブカル事象、用語集。 カットアップ: フレーズをバラバラにして組み立てなおす、執筆や音楽制作で用いられる手法の一つである。タイプライターで印刷された文字列をいちど断片化した後に再構成するという「分解」と「結合」にその本質がある…

『冬の華』

78年、東映。倉本聰脚本。 冒頭、浜辺で男を指すシーン。 浜辺で無邪気にはしゃいでいる、幼い娘。 回る赤い風車。 健さん(昔は”人切りのヒデ”)は、お務めから上がったばかり。浜辺の一件だろう。 物の少ない部屋でちゃんとトースターでトーストを焼いて…

『ジニのパズル(崔実 チェ・シル)』

会社の先輩と「勝手に芥川賞選考会」というものを実施した。 根津のモダン純喫茶「カヤバ」にて(本物は築地の新喜楽)。 それぞれに候補作を読み込み、採点、批評していった。 体裁や文章や小説としての上手さでは低い得点だったと思う。 しかし、候補作の…

『瀬戸際のリベラル ー浅羽通明氏(7月14日 朝日新聞)』

浅羽通明、久しぶりに見た。 思い返せば、浅羽通明野の名にこんなにも既視感があるのは、小林よしのり のあのマンガがきっかけだ。このマンガについては近々論評する。 まず、民主党があの時期に党名を変えるなど言語道断です。合同相手の維新の党つまり内輪…

『美しい距離(山崎ナオコーラ)』

「貫禄」という言葉がふさわしいのだろうか。 候補作品の中では(やはり)一番上手いと思った。 だって5回目のノミネート。いいかげんなんとかしてくれといった具合だろうか。5回目ともなると、いちいち版元の編集担当と待ってもいないと思う。残念会とい…

『あひる(今村夏子)』

第155回(16年夏 7月19日決定) 芥川賞候補作。 「勝手に芥川賞選考会」での講評と、ここ(ブログ)での”いい悪い”はもちろん判断基準とそのレベルが異なる。「勝手に選考会」の3人の選考委員のうち、この作品に×をつけた委員は2人いた。彼らは端的に「…

『短冊流し(高橋弘希)』

第155回(16年夏 7月19日決定) 芥川賞候補作。 会社の先輩から勝手に「芥川賞選考会」をやると言って社内便で送られてきたので読む。図らずもナオコーラの同じ候補作品と同じ場面や状況の設定があった。それも時代か。 子どもの不調から始まる暗くて短い…

『17歳の肖像』

09年、英国。 16歳。少女から大人にっていう絶妙な頃合いを切り取る。 ジャケットから抱いたイメージを裏切るあらすじだろう。 ジャケット観てからあらすじ読んだら観ないタイプの映画。 わたしはというと、深夜の民放「映画天国」でやってたから、その…