ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

2016-01-01から1年間の記事一覧

『ポピュリズムという悪夢(エマニュエル・トッド@読売新聞 6月28日付)』

最近、トッドさんよく見るなあ〜 本人も言うように、フランスでフランスのことを語れなくなったということか。 欧州が荒れているということか。 新自由主義は突き詰めれば「国はない。あるのは個人だけ」という考えだ。超個人主義と言える。 フランスは18世…

「活字文化・出版文化を考える」 -読売ADレポート2002年10月号

読売ADリポート ojo:adv.yomiuri たしかに、情報は氾濫してるかもしれない。 でも、そんな中でもなるべく良質な言葉で、長いことなく沈まずに浮いていられるだけのいかだを作ろうというのがわれわれの信条だ。 そのマルキシズムがなぜ敗れたかというと、テ…

『論壇時評 ”人との対話が「回路」をひらく” ー小熊英二氏(6月30日朝日新聞)』

ある自民党元都議はこう言う。 「任期中にどういう議員活動をし、実績を残したか」は「次の選挙ではまったく関係ありません」。「では、何が大事なのか。地元の行事や冠婚葬祭に出席するかどうかなのです」。 他の先進国と違い、日本では学歴の低い人の方が…

『インセプション』

クリストファー・ノーラン、2010年。 夢の中でアイデアを盗めるというのであれば、アイデアを植え付けることも可能なのでは??記憶というか思い出を書き換えて、「ライバル会社の男は寝たきりの老人だ。継いだ息子に彼の帝国を崩させてほしい」というク…

『24 season1』

だいたい分かったから、もう観るのやめる 巷で騒がれた頃に一度も見なかった。 だって、仲間内の話題では上がらないテレビの中だけで騒がれてる世の中ごとだし。 「24観てる?あの時ジャックがさあ」とか話題にも上がろうものなら観てたんだろうけど、海外…

『鍵のかかる部屋(三島由紀夫)』

怪物 罪というものの謙虚な性質を人は容易に許すが、秘密というものの尊大な性質を人は許さない。 弘子のあけすけな欲望は、人が本心を隠してものを言う時のような誇張された闊達さで言われたからである。 それが不条理な判断を迫るのである。この嬰児は私た…

『高倉健インタヴューズ(野地秩嘉)』

「日本刀は心が安らぐんですよ。夜中に引っ張りだして、すーっと抜き身にして、ぽんぽんぽんって打ち粉を打って、そして眺めます。刃物ってのはただの道具なんですが、日本刀だけはそんな機能を通り越した美しさを持っているように思います。選び抜かれた鉄…

おおうこのブログ。まるで吉田 修一の小説を読んでいるようだ。

おおう、すごい。すごい日記だ。 女子の中でよく口にされる常套句を切り口に、ここまで個人の過去の思い出とリアリティをシンクロさせる子の日記。 まるで、吉田 修一の小説を読んでいるようだ。 仲のいい女友達の素性を、そこにいた誰も知らない。 chainomu…

『伯爵夫人(蓮實重彦)』

15上の先輩から、ある日、社内便で新潮 四月号が回ってきた。 巻頭の小説にふせんがしてあり、面白いから読めという。 読むとぶったまげた。間違いなく、今年一番、面白くインパクトがあった。 後日、新聞でこれが三島賞エントリーしたと聞く。 受賞は間違…

『火花@Netflix(6話〜10話)』

ドラマの後半。 留まる言葉は少なかったような気がする。 言葉は全て何気ないもので、文脈とストーリーの中にあってようやく機能していた。 「お前、何、勃起しながら泣いてんねん」 「性欲の強い、赤ちゃんか」 「この人が全ての答えを持っていると思い込ん…

『勝手にふるえてろ(綿矢りさ)』

はじまりの一文はこう。 とどきますか、とどきません。 いつのまにか致すときは鳴らすのがマナーになった音姫、おそらく日本の女子トイレでのみ起きている不思議な現象。 しかしいまや音姫はマナー化して、鳴らさないとむしろまわりに聞かせたい変態かと思わ…

『愛の渇き(三島由紀夫)』

悦子はその日、阪急百貨店で半毛の靴下を二足買った。紺のを一足。茶いろを一足。質素な無地の靴下である。 野菜泥棒を追いかける百姓の怒声に似ている (弥吉) 「お舅さまはこれが私の贋物の日記だとご存知ない。これが贋物の日記であることを誰が知ろう。…

『日本思想史ハンドブック(苅部直・片岡龍 著)』

第二次世界大戦が始まって一年後に、英国でジョージ・オーウェルが発表したエッセイ、「右であれ左であれ、わが祖国」は、ドイツに対する戦争を支持しようと決めたのは、こういう意識が自分の心を貫いたからだと語っている。「私は心の底では愛国者なのであ…

『金閣寺(三島由紀夫)』

幼時から父は、私によく、金閣のことを語った。 さて、若い英雄は、その崇拝者たちよりも、よけい私のほうを気にしていた。私だけが威風になびかぬように見え、そう思うことが彼の誇りを傷つけた。 それでもなお、私が関与し、参加したという確かな感じが消…

『アベノミクス考 外からの視点(ジム・ロジャーズ@朝日新聞 6月21日付)』

「安倍首相は、経済を再考させ、海外と競える環境を作り出すと公言していたのに、結局、何もやらなかったと思います。やったことは増税、そして税金で道路や橋を造り続け、お札をじゃぶじゃぶ刷り続けたことくらいでした」 「〜〜。しかし、構造改革は進まな…

『プラグマティズム(文化の扉@2016年5月29日付 朝日新聞)』

異なる信念の共生へ 試行錯誤 ・1870年代の米国 パースやジェームズ ・南北戦争を反省に「異なる思想の共生を目指し、唯一の正しさを否定するところからプラグマティズムは始まった」 ・人間の知性は誤り得るとして、唯一絶対の真理を探究する伝統的な西…

『緩慢な統合 欧州の過ち(ブレンダン・シムズ@読売新聞 6月19日付)』

今のEUはドイツが支配的だ。そのありようは神聖ローマ帝国(962年〜1806年)に似ている。この帝国は国々の緩やかな集合体で、政策決定の基本は合意の形成だった。帝国の最高裁判所が法治に目を光らせた。このはるか昔のドイツ流の政治文化をEUは継承した…

『科学者とは(スティーブン・ワインバーグ@2016年6月8日付 朝日新聞)』

自然の観察抜きに理論や数学だけに頼って理解しようとするのは科学ではありません。例えば、彼らは物質を構成する元素について見解を述べていますが、理論や観測に基づいていません。単に、世界はこうあるべきだろう、という詩的イメージを述べているに過ぎ…

『火花@Netflix(1話〜5話)』

FacebookでうっかりNetflixドラマ投票をとったら、皆それぞれにハマっているドラマがある模様。 『オレンジイズニューブラック』とか『マッド・メン』とか、ぜんっぜんアンテナに引っかかってなかった。そんなのも観るようになったら、増々寝不足傾向に..…

『他諺の空似 〜ことわざ人類学〜(米原万里)』

「ママッ、ママ!」出張先から帰宅するなり、娘が駆け寄ってきて、私がコートを脱ぐあいだも息継ぎするのを忘れてしゃべりまくる。 「昨日ママがお留守のあいだにね、パパったら綺麗なお姉さんを連れて来たの。それでね、リビングのソファでね、一緒に横にな…

『東京物語(小津安二郎)』

53年、松竹。「紀子」を演じる原節子になぞらえ、「紀子三部作」とか言われてるらしい。 端的に言うと,「原節子(紀子)ええ子やで〜」って映画。 戦後、戦場で死んだ夫を偲びながら残された女たちは、バスバス男が出来たり、再婚したりしていく中で、そ…

『秋刀魚の味』

(62年松竹。小津の遺作と言われている) 秋刀魚食べるみたいな話ではありません。 エンディングで秋刀魚食べて、「やっぱり秋刀魚は目黒に限る」みたいなオチ、みたいな部分もありません。 秋刀魚要素は皆無。 美しいのは、娘・路子(岩下志麻、当時24歳…

『専横のカリスマ 渡邉恒雄(大下英治)』

・しかばね演説 東京に輪転機を六台入れる件では、務台社長は正力社主と刺し違える覚悟だった 初配属の読売ウィークリーでは、共産党山村工作隊ルポ。 ・大野伴睦に対しては、「一人の人間として、あれほど完璧にいいやつはいなかったと思う」 ・のちにデヴ…

『私の消滅(中村文則/文学界6月号)』

(文藝春秋ではなく、文学界の巻頭。相も変わらず、物語の向かうのは、徹底的に不快な方向性) 父が母を叩く音が続く。母の短い悲鳴。私はドアの前でただ立っていた。銀のドアノブが、暗がりの中でぼんやり光って見える。ドアは、酷く薄く頼りなかった。開け…

『コンビニ人間(村田沙耶香/文学界6月号)』

村田沙耶香の小説は初めてだった。 芥川賞候補作品が発表される前に読んだので、同賞選考のスタンスでは読まなかった。 業界的には、いま一番取らせたい人なんだろうが、キャラクター造詣や世界観にいささかエンタメ感が滲む(例えるなら、読後感が”世にも奇…

『三島由紀夫 行動する言葉100(英知出版社)』

やたらと人に弱味をさらけ出す人間のことを、私は躊躇なく「無礼者」と呼びます。 常に強がるのが軍人や政治家の仕事なら、弱味を見せるのは芸術家・小説家の仕事ともいえるのではないか。 老人はいやでも政治的であることを強いられる 三島が考える政治的と…

『暁の寺(三島由紀夫)』

豊穣の海 の三作目。 本多の別荘 本を取り去った突き当たりの壁には小さな穴が穿たれている。 清顕と勲については、かれらの人生がそういう水晶のような結晶を結ぶのに、いささかの力を貸したという自負が本多にはあった。 (いまや金持ちである本多の性癖 …

『ミノタウロスの皿(藤子・F・不二雄 異色短編)』

同年代がおもしろいというから読んでみた。 散りばめられた、現代文明批判にブラックユーモアクロージングの数々。 「じじぬき」 「間引き」 「コロリころげた木の根っこ」 「わが子・スーパーマン」 「TM(タイム・マシン)は絶対に」 「ミノタウロスの皿…

『金言・笑言・名言録(高田文夫)』

猫にごはん(春風亭昇太) 喜ぶな 上司と野球にゃ 裏がある(サラリーマン川柳) 人間万事可愛げ(高田文夫) 「恋が着せ、愛が脱がせる(その昔の伊勢丹のポスター)」 「とめてくれるなおかっさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」(1968年…

『現代アートの本当の楽しみ方』

会社の図書室で借りた。 遠藤水城さんと五野井さんの対談中。 学問において、自由と民主主義を戦前戦中戦後とつないできたのがやっぱり岩波・朝日文化なわけですよ。 遠藤ー美術でも、美術館に行くということは何かを学ばなければならない、何かを得るものだ…