ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

取締役島耕作

取締役 #2巻✔︎上海時代の秘書・揚春華 ✔︎北京大学と復旦大学 ✔︎「あいつは間違いなく5年後の初芝電産を背負って立つ男だ」 ✔︎チャコママ、上海でベイカーとヘロイン漬け 取締役 #5巻✔︎大泉相談役の死。愛人の馬島典子が出棺の先頭に、「最高のフィナーレだ…

旅はわたしの読書体験の一つだ。(2018.4.30-5.3)

旅はわたしの読書体験の一つだ。(@THAI PATAYA 2018.4.30-5.3)iphoneメモより、帰国後に一部補足。 @Thai land PATAYA(4/30) スワンナプーム空港で今日から2日間のパタヤの天気を調べる。iphone標準搭載の天気予報によると3日間ずっと雨らしい..☔️おお…

『レッド・ドラゴン』

こんなシーンあったかな?くらいに思わせる狂信的殺人犯の一幕 時系列的には、羊たちの沈黙以前のエピソード1。 主役(殺人犯)模はレクターの倣犯ならぬ、レクター博士に憧れている狂ったタイプの犯罪者。本篇は言わば羊たちのスピンオフ作品。 この手の作…

『クロマグロとシロザケ 〜東京夜話〜(いしいしんじ)』

「つらいのはな、速く泳げないことなんだ。自分が泳ぎたい速度で泳げなけりゃ、泳いでるって気にならないだろう」 「なにかやらなくっちゃ、って感じを思い出すね」彼は巨体を上下に揺らした。「ずいぶん長い間、一匹だったんだ。一匹だと、やっぱり自分はわ…

『掏摸(中村文則)』

財布はポストに入れれば、郵便局から警察に行き、免許証の住所に戻る。指紋を拭き取り、ポケットにしまった。ホストは薬でつかまりかもしれないが、それは自分に関係したことではなかった。 この金は昨日の痴漢から取ったものだが、その前の所有者は不明だっ…

『フィッシュストーリー』

伊坂の短編。 嫁が一番好きな話だ、というので再読。 二十数年前と現在、さらに三十数年前とが繋がる。ある音楽で。 息子の正義、ハイジャック、ミュージシャンのレコーディング。 まさに、風が吹けば桶屋がもうかる。 めぐりめぐって「彼らの音楽が、世界を…

『銃(中村文則)』

『銃』を再読。 大学生の抱える退屈と狂気。何かとすぐセックスという男子大学生のメンタリティや、銃を持っていることの落ち着きと狂気。 クライマックスは電車の中で。ラスト2行は現代の狂気そのもの。そんな狂気にもリアリティがある(ような気がする)か…

最近のこと(メモ)

「わたしのスマホの中のメモ帳」 ★かんぴょうを客に包んでもらう提供 →コレド室町地下1階のカウンター寿司屋すっごくいいです。おまかせの握りが貫数多くネタも良くパフォーマンス高し。夜もこれだっつうから安く美味しい握りでその夜締めたい方はぜし!! …

『部長 島耕作(弘兼憲史)』

もうほとんど、各巻のハイライトと備忘録ですわ。 部長 #2✔︎「つまり国民は公平な分配に慣れてい...」✔︎中沢社長の辞任と︎ゴールデン街のチャコママ✔︎初貿の専務として出向。秘書は高市千鶴。で、背中には刺青。父は組長。✔︎「しかしまた庭石のように重い女…

『課長 島耕作(弘兼憲史)』

課長 #16巻✔︎タイで現地の運転手ソーチャムに助けられる✔︎総会屋に脅迫されて、社員の妻とのファック写真を本社の正面玄関にB全にして貼られる 課長 #17巻✔︎役員末席(36番目)の中澤取締役が社長に。(木野社長、大原会長)✔︎娘からの電話中に大町愛子が自…

『年表で分かる現代の社会と宗教』

社会学者の見田宗介さんが非常に重要なものの見方を提示しています。ある時代をうまくとらえるためには、その時代に「現実」という言葉の反対語としてどういう言葉が想起されたのかを考えることによって、その時代の相みたいなものが見えてくる、と。 日本が…

『炎の牛肉教室!(山本謙治)』

山本謙治。この人も闘っている。 問題視されることがなかった現状に批評性を持って取り組んでいる。 自分が正しいと感じたことのために。 やまけんの出張食い倒れ日記 和牛は「黒毛和種」、「褐毛和種」、「日本短角和種」、「無角和種」の4品種。 A5とい…

【突破する力 朝日新聞GLOBE】気仙沼ニッティング 御手洗端子

フィッシャーマンズセーターとして、新たな産業を生んだ。 学校で先生に「将来は何ないなりたいのか」と聞かれ、答えられなかった。家に帰って言うと、母親の照子はこう諭した。「何にたりたいかより、どう生きたいかでしょう」 マッキンゼーを選んだのは「…

論壇時評「現実 追認せず合意形成を」_小熊英二

村民の1/4が技能実習生だった長野県川上村(日本一のレタス出荷量で知られる)のように、外国人なしに成り立たない地域や産業も少なくない。 ドイツと日本の再軍備の経緯の違いを指摘する。ドイツでは、民主主義と軍隊をどう両立させるか議論して再軍備し…

論壇時評「充実を支持する層は」_小熊英二

福祉の充実が、貧しい人に支持されていない。嘘のようだが本当の話だ。 大沢によれば「日本の税・社会保障制度はOECD諸国の中でも最も累進度低」い。とくに社会保険料は、低所得の人ほど相対的に負担が重い。 純粋に政府からの所得移転だけをみても、日…

『政治断簡:冬来たりなば春遠からじ(高橋純子)』

「死ぬ時間考えてほしいよ。この時間は死ぬ時間じゃねえだろ。2時ぐらいに死ねよ」 「そうだよね〜」 2人ともスマホの画面を見つめたまま。 共感、共生の感覚が細り、やせてしまったこの社会の土壌。 「共」の醸成は、政治の大きな役割のひとつだ。 政治の言…

『R帝国(中村文則)』

中村文則として、書かずには済まされないテーマ(という位相)だったのだろう。 しかし、破滅的な展開において愛とか小さい頃の出会いについてのみ首尾よく上手い具合に(つまりはご都合主義的に)ことが運ぶのは興ざめを禁じざるをえない。 悪や悪意を具現…

取り替え子 -チェンジリング-(大江健三郎)

亡き義兄、伊丹十三をモデルに。 田亀での、吾郎との会話。 cf.千樫はそこまでを区切りに、田亀をとめた。 兵隊ベッド... これは受け身の事故ではなく、自分の積極的な表現行為が引き出したものであって、このように、またこれからもヤクザと闘い続けること…

『文学の淵を渡る(大江健三郎×古井由吉)』

先生は聖書の同じところに即して語られました。「娼婦と結婚する」という言葉がありますでしょう。僕たちキリスト教の外側の人間は、「娼婦と結婚する」という言葉を見ると、まあ比喩として考えます。ところが、門脇神父のようなキリスト教の専門家は、それ…

『anone #6』

高度資本主義国家で、偽札づくりっていうファンタジー。 不適かつ大胆な役やらせたら傑出の、瑛太の良さ出てきた。 「ぼく、観たことあるんですよ。完璧な偽札を..」 「偽札に、被害者はいません」 「少し古いくらいが美味しいのよ」

『Mother #2-11』

#3 「フフフフ、うっかりさんだね」 「そう。うっかりさんなんです」 #8 奈緒「道木れなさんの、幸せを願いします」 #9 籐子「何よりそれを先に伝えてあげなきゃいけなかった。 よくつぐみちゃんを助けてあげたわね」 鈴原家の女の結束。うっかりさん…

『Mother #1』

芦田愛菜ちゃん可愛い過ぎる... 「嫌いなもののことを考えちゃダメなの。好きなもののことをずっと考えるの」 「いつきちゃん聞いて。わたし、あなたを誘拐しようと思う」 わたしあなたのお母さんになろうと思う。 あなたと二人で生きていこうと思う。 あな…

『デヴィッド・レターマン 〜今日のゲストは大スター〜』

一回目のゲストは、第44代アメリカ合衆国大統領、バラク・オバマ。 なんてユーモアがある人なんだ。 こんな人が国のトップだなんて、やはりアメリカは恵まれていた。 数分間、彼の話しているのを聞いているだけで、優れた知性を感じた。 そして彼の話に、…

『anone #5』

www.ntv.co.jp 第5話。亜乃音の家で家族のように過ごす四人。 カルテットの四人のように。 夫の家に入った時の、るい子(小林聡美)の扱われ方は、見ているのが辛い。 親に対する敬意も優しさもない息子。義母の甘さが孫の成長を疎外する。 理市「今日ここに…

『Devilman crybaby』

人類が死に絶えて、悪魔(サタン)が生きているという印象的なシーンで終る、バッドエンドを初めて漫画で経験したのが、デビルマンだった。 あれから10年以上。 平成も終ろうとしている29年に、ネットフリックスでアニメ化たあ...。 人類の愚かさは、ます…

『サラバ!(西加奈子)』

読んでから随分時間が経ってしまった。 読まず嫌いしてた西加奈子だったが、とてもいい書き手であることが分かった。 うれしい。 そんで、又吉たちが「西加奈子の小説を読んで、自由に書いていいんだ」と思ったみたいなくだりが分かったような気がする。 現…

『このサイテーな世界の終わり』

サイコパスな少年の反骨少女かあ。 強がっていきがったことばかり言ってたティーン前半。 お互いをよく知らない男の子と女の子が、互いにブラフをかまし合いながら、物語とシーンが展開していく。何にも囚われまいとする彼女たちのやりとりは、キラキラした…

『ディレイ・エフェクト(宮内悠介)』

う〜ん、あんまり言うことはないんだよなあ。 文学界もとい、出版界がとにかくこの人にそろそろ取っておいて欲しい、くらいの名前なんだろうなあってくらい、候補になった回数が多い(直木賞3回、芥川賞2回候補)。 あまりに突飛な設定に、適応するのに何…

『おらおらでひとりいぐも(若竹千佐子)』

孤独と対話がテーマ。 このように、脳内で何人かの自分が対話している老人は多いと思う。 著者は74歳で文藝賞初受賞。 老女の脳内で繰り広げられる対話と追憶。 年の功らしく、作中に太字になりそうな部分は多い。 桃子さんはさっきから堰を切ったように身…

『先生の白い嘘』

『週間SPA」で連載されている『ロマンス暴風域』が、ただならぬリアリティを描いてると思ったので同作者の作品を読むことにした。 まさしく一気読みだった。 処女を襲って、以後いいなりにさせる悪魔のような男。ここが物語を駆動する仕掛けの核だ。 そし…